日本三大秘境の一つ、

徳島県祖谷地方

山の麓に集落が形成され、その周りに田畑が広がるというのが一般的な「里山の風景」ですが、祖谷の集落は山の斜面を切り開いて作られています。
ここ落合集落は高低差約390メートルにも及ぶ集落で、江戸時代中期から後期に建造された古い民家が今も崖に張り付くように点在しています。

集落の古い民家は山村集落特有の構造と間取りを持ち、うねるように伸びる里道や周囲に広がる石垣、耕作地と相まって独特の景観を持っています。
このような歴史的景観の希少性が評価され、2005年に集落全体が重要伝統的建造物群保存地区(重伝建地区)に選定されました。

“桃源郷祖谷の山里”はこの落合集落に点在する茅葺古民家宿泊施設です。

無色の時が流れる
平穏の山里、祖谷

祖谷はどのような場所か、祖谷に行けば何に出会えるのか...
その問いの答えはもしかすると、「“なにもない”がある」かもしれません。“なにもない”というのは、人が生きていく上で本当に必要なもの、つまり、人とそれをとりまくごく自然なものだけがあることと言い換えられるでしょう。
朝靄に包まれた夜明け、山々を覆い尽くす雲海、青みがかった川、雪に閉ざされた無音の集落。かつて平家の落人たちが隠れ住んだ秘境の里といわれ、日本の三大秘境に数えられるほどに山深い祖谷は、しばしば装飾的、魅惑的な言葉で語られることがあります。
しかし、様々に語られるこれら多くの祖谷の姿とは裏腹に、今でもこの地には日々確かに、普通に、自然の道理に従いながら、山村地域特有の伝統的な生活様式を受け継ぎながら暮らす人々がいます。

今や失われつつある
日本の残像

ここに暮らす人々にとってこの景観は、「伝統」などといった重たい言葉で語ることでもなく、ただただ大昔の先祖の代から日々続いている「日常」なのです。ゆるやかな時が流れ、平熱感漂う山里。それがほんとうの祖谷の姿であり、ともすれば今では失われかけた日本の残像ではないでしょうか。
日常の風景、あるいは「日常感」は、特別な言葉で表現されるものではなく、かといって、なかなか普段感じることが難しいものです。祖谷の山里を歩くと、まちでは出会えない普通の「日常」に触れることができます。気づけば何ともないおしゃべりが始まってしまうお母さん、自宅の畑でとれた野菜を手渡してくれるお父さん。祖谷を訪れる皆様に、私たちがそんな「無色のときが流れる、平温の山里、祖谷」を旅するお手伝いができたらと思っています。